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「帰国子女から見た日本の働き方③」アメリカ女性と”glass ceiling(ガラスの天井)”

glass ceiling

帰国子女から見た日本の働き方について、第1弾は求職活動におけるアメリカと日本の違い、第2弾では働き方制度の違い等についてご紹介しましたが、第3弾は女性の働き方にフォーカスして書かせていただきます。

女性の社会進出において、他国に比べると日本は遅れているとよく言われますが、実際のところどうなのでしょうか?

※前回の記事はこちら

▶︎帰国子女から見た日本の働き方①「こんなに違う!アメリカと日本での働き方」

▶︎帰国子女から見た日本の働き方②「終身雇用と年功序列、飲みニケーション」

寄稿者 karenさん

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karenさん

プロフィール

日本の高校を卒業後アメリカの大学に進学。3年・ダブルメジャーで卒業後、日本に帰国。半年のフリーター生活を経て日本企業に就職。日本をもうちょっと住みやすい国にしたい。

ブログ:「ふぃ」を大切に

制度が充実している日本の労働環境

実はアメリカでは日本ほど産休・育休制度が整っていないことを知っていましたか?産休・育休は会社で自ら交渉しないともらえなかったり、出産費用は自分が加入している保険次第であったりするのがアメリカの現状です。

 

それに比べて日本では産休・育休は労働基準法で定められており、多くの女性が産休・育休期間も雇用保険によってきちんと給与の一部を受け取っています。そういう意味ではアメリカに比べると女性が働きやすい状況です。子育て支援を推進している企業は厚生労働省から 「くるみん」認定されており、それを就職先選びの基準にしている女性もいるかと思います。

▶️「くるみん」について:厚労省HP

このように女性に優しい制度を持った企業が多い日本ですが、それでもまだまだ働く女性が少ないのは大きな謎ですよね。

人生で何を優先するのか?

企業の制度もそうですが、フルタイム/パートタイム/フリーランスなどと働き方が多様化し始めたことにより、女性が働きやすくなっていると感じることも増えてきました。しかし、日本では、配偶者控除を受けられるかどうかを重視し、時間を制限して働く主婦がいるなど、制度や税金との兼ね合いで働き方を選んでいる人が少なからずいるように感じます。

一方アメリカの女性は、たとえ高額な保育園費用を払ってでも、税金面で損をしてでも、自分のキャリアのためになる選択肢を選ぶ人がたくさんいます。

長い目で見た時に自分の為になるのはどちらかという視点で自分の働き方を模索し、仕事と家庭の両方の幸せを手に入れようとする意識が強いのです。そこが、日本とアメリカの女性の活躍に差がでている理由の一つかもしれないと日本で働きはじめてから思うようになりました。

”glass ceiling(ガラスの天井)”

glass ceiling

様々な場で活躍する女性にアメリカで出会った私は、自分もしっかりとキャリアを積んで仕事も家庭も手に入れたい!と入社前には思っていました。しかし、いざ入社してみると女性役員は1人、女性で過去に海外駐在した経験のある人も1人という悲しい現実がありました。女性の営業職はごく一部で、そのわずかな女性営業職も子供を持つとスタッフ職へ異動するというのが通例と聞いたときには「女性の活躍を促進する」と言っている会社のその現状にがっかりしたものです。

 

同時に、女性は全てを手に入れることはできないのではないかという気持ちがよぎり、その途端、「自分は人生で何を優先したいのか?」を考えていました。みんなが全てを得られる訳ではない・・と思ったのです。

しかし、それこれこそが、女性の社会進出が進まない理由だということを、先日アメリカ人の友達に指摘されました。

「あなたまで多くを望まなくなり(=上を見なくなり)、身近な小さい幸せを重視し、それに満足するようになったらだめだ!」と。

アメリカにも日本にも、女性が仕事において上を目指そうとすると見えない壁に阻まれます。それをアメリカでは「glass ceiling(ガラスの天井)」と表現します。アメリカの女性たちはこの言葉を頻繁に用いてお互いを鼓舞していますが、日本ではそういった話題自体が取り上げられることがまだまだ少ないように感じます。私が自然とそう考えたように、自分の理想をいつのまにか下げ、多くの人が仕事の優先順位を下げる結論を出してしまうのです。

 

日本の女性の社会進出がなかなか進まない理由は様々ですが、今回の記事で、日本に限らず、アメリカもまだまだだということを知ってもらえたのではないかと思います。女性の活躍でいうと先を走るのはアメリカではなく、北欧だと言われています。

北欧に続き、日本に限らず、世界中で女性の社会進出が進めばと思うと共に、今働いている私自身も次世代がより働きやすい社会になるように貢献できたらと思っています。

 

3回に渡って書かせていただきました「帰国子女から見た日本の働き方」、最後までお読みいただきありがとうございました!

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日本の高校を卒業後アメリカの大学に進学。3年・ダブルメジャーで卒業後、日本に帰国。半年のフリーター生活を経て日本企業に就職。日本をもうちょっと住みやすい国にしたい。 ブログ:「ふぃ」を大切に

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