社会的複業とは?『ワーシャルの目指す新しい働き方』
目次
政府の「働き方改革」を受けて、2018年1月に厚生労働省は、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定し、モデル就業規則を改定して、副業を認める方向に動き出しました。
副業と複業の違い
そもそも、日本でも「1人が何個も仕事をしている」という状態は過去の歴史において、当たり前のように存在していました。
「一社だけに務めるサラリーマン」という、現在当たり前となっているサラリーマンの働き方は、ここ50年ほどで日本に根付いた比較的新しい働き方だといわれています。
高齢者が増え、社会的に主な労働力となる若者が加速度的に減少していくこれからの日本では、「人材をシェアする」という副業や複業という働き方は、合理的で社会的に大変意義のあるものになっていくことが予想されます。
組織は、多かれ少なかれ、そういった雇用形態を視野に入れていく必要性が高まってくるでしょう。
しかし、副業や複業、兼業など様々な呼び方が存在し、混乱してしまう方も多いと思います。そこで、「社会的複業」の言葉の説明の前に、まず「副業」と「複業、兼業」の違いについて説明します。
「副業」とは
副業は、主に本業以外に収入を得る働き方のことを言います。1つの主体となる働き先があり、そこで本業をしながら、余剰時間で主にお小遣い稼ぎを目的に働く働き方のことを言います。
副業に掛ける時間は少なく、その分得られる報酬も少ないことも多いです。いわゆる内職的なイメージが強いです。
また、社会的にも副業を禁止している組織も多かったため、「後ろめたい」、「隠れてするもの」というニュアンスが自然に含まれてしまうこともあります。
日本のサラリーマンの平均年収は2001年の505万円をピークに低下しており、2018年現在では約420万円。ここ17年間で約70万円ほどサラリーマンの年収は低下していることになります。副業という選択を視野に入れる人が多くなるのも当然と言えるかもしれません。
大手企業も副業解禁を宣言しており、どんどんその波は広まりつつあります。これから日本でも徐々に広まっていくでしょう。
「複業」とは
複業とは、主に個人事業主が本業以外にも同じ労力かそれ以上の労力を割いて行う事業のことを指します。本業以外にも違う組織に所属し、一定の給料を頂いたり、NPO法人を立ち上げたりして、個人的に活動している方も沢山います。
複業は、「ダブルワーク」や「兼業」という言い方をしたりもします。筆者の周りでも本業以外の「2枚目の名刺」を持って週末や平日の業後に活動をしている人たちが沢山います。
複業は、収入の有無に限らず、価値を生む働き方を指します。
複業は「パラレルキャリア」とも呼ばれたりします。
パラレルキャリアとは、ピーター・ドラッガーの著書「明日を支配するもの〜21世紀のマネジメント革命〜」で出てくる造語が元になっています。
「副業」は、収入が「本業」を上回れば、入れ替わる
「主(メイン)」+「副(サブ)」の関係に対し、
「複業」は全部が本業で「重なる」関係になります。
副業と複業の言葉の使い分けは?
筆者自身、プライベートで複業や副業をしている方と関わる機会があります。
会話の中で、「フクギョウ」という言葉が出てきたときに、その方がどっちの「フクギョウ」のことを指しているのか、その方が行っている活動内容と、前後の会話の文脈から推測するようにしています。
少しでも収入を上げるために本業以外の仕事をしている場合は、”副業”です。この場合は、自身の得意なことで収入を得ることを目標に行っていることが多いです。最終目標が「収入を増やす」というところにあります。
明確な理想や理念があって、本業以外にも収入を得ながら仲間やチームで活動を行っている場合は、”複業”という風に理解します。この場合は、何年も掛けて少しづつ幅広い人脈を築いたり、行政・自治体に働きかけていくことも多いです。
また、私自身が「フクギョウ」という言葉を使う場合は、ニュアンスの違いを伝えるため、「サブの方のフクギョウ(副業)」、「マルチの方のフクギョウ(複業)」という言い方をしたりします。
しかし、私個人の見解としては、働き方に関して、言葉の種類を判別することは、それほど重要なことではないと思っています。
どちらの”フクギョウ”にしろ、話をしている方が、「なぜその仕事をわざわざ本業以外に労力を割いて行っているのか」ということを理解することが最も重要です。
なぜなら、サブの副業もマルチの複業も、両方とも、「社会的に意義のあるものでなければ、そもそも活動として成立しない」という大前提があるからです。
”社会的複業”という新しい働き方
私自身は、サブの副業も、マルチの複業も両方混ぜ合わせてやってきたつもりですが、両者の共通点は、まさにそこにあります。
つまり、副業も複業も兼業も、名前や定義に若干の違いがありますが、社会的に他者に価値を提供することを視野に入れた活動でなければ、どちらも継続させることは難しいですし、ましてやそこで収入を得ることもできません。
そういった意味で、ワーシャルでは、
社会の複数の場で事業・活動をすること全て、「社会的複業」という言葉を使って表現しています。
収入を得るための仕事以外でも社会に価値を提供する。
その活動の中で、理念を元に周りを巻き込み、みんなが理想とするより良い社会を目指す。もちろん、その中で収入が得られることもありますが、あくまでそれは副産物としてであり、その本質は、「社会的意義のある活動をする」ということにあります。
「社会的複業」を料理で例えると、寄せ鍋のようなイメージです。
お鍋の具材は、たくさんあったほうが美味しいダシがとれます。
私個人としては、組織を離れて個人として活動をする上で、金銭的な報酬や収入にだけフォーカスしてしまうと、気付くと自身がやりたいことから少しズレてしまっていることが多く、家も職場でも地域でも、複数の場で丁度良いバランスを保つことが成功の鍵を握るのではないかと感じています。
社会的複業のメリットは?
まとめ
①副業…収入目的の本業以外の活動
②複業…仕事以外の幅広い活動。地域活動やNPO、社外プロジェクトなど
③社会的複業…①も②も含めて、社会の複数の場で価値を生み出す働き方
という風に理解しておけば良いと思います。
しかし、実際のところ、本業以外にチームや仲間と組んで仕事をしていく場合、理念とか、目指す社会を実現するためにどうすれば良いのか、という話になることがほとんどで、その時に、副業なのか複業なのか、という言葉の定義はあまり大きな問題にならないことも多いです。
表面の言葉の定義に囚われるのではなく、自身のしてみたい活動がどういった人の役に立つのか、社会的にどういった役割を持つのか、しっかりと考えておくことが重要です。
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