INTERVIEW
インタビュー
旅は通過点♪ 次の楽しみを見つけるバリアフリー旅館
目次
バリアフリー旅館って知っていますか?
車椅子のまま館内を利用できたり、お風呂場に手すりがあったり。
2020年に開催する予定だった、東京五輪・パラリンピックに向けて、国土交通省はホテルや旅館の車椅子使用客室が増えるように建設設計基準を改正しました。
しかしながら、全国的にバリアフリーが充実している施設は多くありません。
今回、バリアフリー✖︎旅館の2つの業を活かして多くのお客様をおもてなしをしている『 サポートイン南知多 』の女将を務める中島千賀子さんにお話を伺いました。
・インタビューを受けた方
インタビューを受けた方
中島 千賀子(なかしま・ちかこ)さん
( バリアフリー旅館サポートイン南知多ってどんなところ? )
しょうがいの有無に関わらず誰でも利用できる旅館になっています。
介護ベッドやユニバーサルデザイントイレの設置、お部屋は強化畳を仕様しているため、車椅子のままお部屋で過ごすことができます。
お風呂は2種類に分かれており、手すり付きの浴場と介護が必要な方でも入ることができるようにリフト付きジェットバスを備えています。
お食事は普通の食事と全く同じものを食べられるように刻み食やミキサー食を用意することができます。お客様の飲み込みの状態に応じて刻む程度を調整させていただいています。
旅館スタッフは介護職員初任者研修以上の資格を持っているため、必要に応じて身の回りのお手伝いをさせていただくことができます。
※介護職員初任者研修
在宅、施設を問わず、介護職として働く上で基本となる知識・技術を習得する研修
講義と演習で構成される130時間の研修受講と、全過程修了後の修了試験に合格することが必要。
どのようなお客様が来られますか?
当旅館には、要介護状態のお客様や施設入所されている方が一時外泊という形でお泊まりになられることもあります。
認知症のお母さんと一緒に宿泊された娘様は「ゆっくりご飯を食べることができた」「晩御飯にお酒を飲むのは久しぶり」と言っていただいたり。
先日は、旅行が面倒臭いと言っていた両親でしたが、実際に旅行へ行ってみると旅行から帰ってきた後「また行きたいから筋トレを頑張る」と言い出し、また泊まりに行きますと嬉しい連絡をいただきました。
宿泊される方の中にはお風呂で失禁してしまったり、持ってきている下着が足りないなど何かしらのハプニングが起きることもあります。そんな時でも、お客様が気負いせずに軽やかに過ごすことができるようハプニングを受け止め、柔軟に対応できるように務めています。
最近は、特別支援学校の修学旅行先として選んでいただくことが多くなりました。ある学校の受け入れ時、病院受診が必要になったお子さんがいらっしゃりました。そのため、引率教員の数が足りずに想定していた人員配置が取れない場面がありました。その際、スタッフが教員の方々と協同し、入浴前後の対応や待っているお子さんとボッチャ大会を開催することで場をフォローすることができました。
様々なお客様が対応させていただくににあたって、教科書に書いてあるような対応は通じない場合が多くありいます。私は日頃からスタッフに「 目の前のお客様をよく見て、考えて、行動するように 」と伝えています。一般的なマニュアルに沿うことなく、しょうがいの有無に関わらずにお客様に寄り添って、心から楽しめるようにスタッフと日々研鑽しています。
コロナ禍での運営はどうですか?
現在(インタビューは2月末日)は新型コロナウイルス拡大に伴い臨時休業しています。緊急事態宣言が空けた後にアルコール消毒を含めた感染対策を行なった上で営業を再開する予定で、現在はそれに向けてスタッフ一同日々準備をしています。
再開後は様々な企画を予定していて、7月には『 バリアフリー海の家 』を行います。車椅子のまま砂浜を移動できるように特殊なマットを利用するので、車椅子利用者の方でも夏の海を楽しむことができるようになります。また、宿泊だけでなく、日帰り利用や企業の研修場所として利用することも可能です。
社会情勢を踏まえて、オンラインでの館内案内も行っていますので、旅館の雰囲気や設備が気になる方はお気軽にお問い合わせくださいね。
女将からのメッセージ
旅館に宿泊していただいた方が、ゆったりと過ごし、良い想い出をつくることができるように努めています。旅行がゴールではなく、宿泊後に健康への意識が高まり、また旅行に行きたい、もっと遠くに旅行に行けるようにとお客様の人生に関わりたいと思っています。みなさんのご宿泊をお待ちしています。
まとめ
車椅子でも利用できる客室、お身体の状態に応じたお食事提供といったハード面のバリアフリーに加えて、スタッフの方々の細やかな気配りといったソフト面のバリアフリーが充実しているサポートイン南知多に足を伸ばしてみませんか?
サポートイン南知多さんの情報は下記よりご覧いただけます
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バリアフリー旅館を運営しているのはこちら
「人生 楽しく 自分らしく」という法人理念はそういった私の信条であり、私自身の人生の生き様でもあります。 それは幼少から青春時代まで両親、祖母とともに生活をした中で最も影響の大きかった祖母との長い関わりの中から生まれた感謝の気持ちでもあります。企業としての夢はたくさんありますが、これからもみなさまのご指導やご協力、 暖かいご理解を頂きながら、高齢者はもちろん地域に住む皆が住みよい生活環境を創造していけるよう、究極は「 福祉のまちづくり 」に微力ながら貢献したいと考えております。
株式会社マザーズ 代表 野口 恵介
インタビュアー 複業応援家 三浦尚也
インタビュアープロフィール
大分県出身、沖縄在住。理学療法士の資格を活かして記事執筆や動画作成・編集を学び広報を中心に複業に取り組む。2019年から沖縄の医療介護福祉職の働き方改革を支援する団体『 はたぷろ 』設立。2020年から複業応援家として働き方や生き方を模索する個人の支援活動を行う。