INTERVIEW
インタビュー
「フリーランス作業療法士」ってどんな働き方をしているの?
目次
今回は、フリーランスの作業療法士として活躍されている川添さんにインタビューさせて頂きました!
医療介護福祉系の資格を持っていても、フリーランスになり、自身が思い描くワークスタイルを追求している人が増えています。
今回は、国家資格の作業療法士免許を持ちながら、フリーランスとして働いている川添拓真さんに働き方の実情をお聞きしました。作業療法士が主に働く病院や施設など、旧来のフィールド以外にも活動の幅を広げたい方に参考になれば幸いです。
経歴
編集者:今までの経歴を教えてください。
川添さん:国家資格取得後、大阪の病院で10年勤務しました。病院の関連の施設などを周り、ケアミックス、急性期、回復期、維持期、外来などを経験したのち、昨年から地域で働き始めました。
フリーランスとして自分の活動を始めたのは昨年からなので、ちょうど1年前くらいからです。
編集者:フリーランスになろうと思ったきっかけはなんですか?
川添さん:私は、病院勤務時代に管理職をしていました。後輩たちの意見を聞き、組織を変えたいと思って色々自分なりに精一杯やったのですが、なかなか難しくて…。元々、自分はこんなことがやりたい!と思うタイプの人間なので、一度組織の外に出て自分で思う通りにやってみたいと思ったことがきっかけです。
編集者:たしかに、組織が大きくなればなるほど、アイデアを実行に移すためにたくさんのステップを踏む必要がある場合も多いですよね。
川添さん:はい、フリーランスは全てが自分次第ですね。
自由はありますが、その分、全て自分に責任と結果が返ってくるという感じです。
フリーランスとしての活動
編集者:フリーランスとしてはどのような活動をされているのでしょうか?
川添さん:大阪の堺市で泉北鉄道とコラボし、「泉北プラット」という地域活動を行っています。他には、車椅子の広告事業を最近はじめました。普段は業務委託として訪問リハビリに従事し、各家庭を回っています。
泉北プラットについて詳細▶️「泉北プラットとは?」
編集者:「車椅子広告事業」とは具体的にどんなことをされているのですか?
川添さん:様々な活動を行う中で、障がいがある方から「就職できない」と悩んでいるという話をたくさん聞きました。企業の採用で障害者枠があるが、かなり狭い門で、さらに採用に至ってもなかなか自分の能力を試すような機会はもらえないことが多いとのことでした。
そこで、普段乗っている車椅子を広告にしてみてはどうか?と思いました。
私が行っているのは、車椅子ユーザー(一般の方)の車椅子に広告を貼ることで、障がいがある方が収入が得られる仕組みを作る社会貢献事業です。
スポンサーを集め、仲介する形で関わります。今は、実験的に小規模で5人〜10人の方に車椅子広告のお話をし、認知度を上げるための活動しています。
障がいがある方の外出機会を増やすきっかけになったり、生活面での金銭的な支えになれればと思っています。
車椅子 広告事業について
編集者:「車椅子広告」と聞くと、パラリンピックの選手に企業がスポンサーで付いて、広告の付いた車椅子に乗っているいるイメージがあります。
違いはどんな所にありますか?
川添さん:限られた人にしか広告枠が提供されないのではなく、社会貢献事業として、一般障がい者の方が広告を宣伝できる仕組みを作りたいと思っています。
編集者:広告って、すごくたくさんの人、例えば数千人とかに見てもらえないと効果がないような気がします。
「数が勝負!」といいますか笑。
川添さん:はい、おっしゃる通りです。
その点は検証実験を行い、実際のところどうななのか確認しました。具体的には、実際に車椅子に広告を貼り付けて、人がたくさんいる駅周辺を走行してみたんです。
そうすると、単位時間あたり、駅構内のポスターと同じくらいの数の人が車椅子広告を見ていました。
結果、駅構内のポスターとほぼ同等の広告効果があるという結果になりました。
編集者:すごい!走る場所によっては駅構内のポスターよりも広告として効果的な感じですね。今後が楽しみです。
川添さん:はい、広告のターゲットが集まる場所を選定して実施すれば、広告としての効果はもっと高まると考えています。
フリーランスについて
編集者:フリーランスとして活動していて大変なところはありますか?
川添さん:自分でお客さんを集めることが一番大変かなと思います。仕事とお客さん、両方があって初めて収入になります。組織で働いていたときは与えられた仕事をどうこなすか?と常に考えていましたが、今は、仕事を一生懸命やるのは当たり前で、さらに「どう仕事を作るか?」も相当考えなければなりません。
そこが大変ではありますね。
編集者:逆に良いところはどんなところですか?
川添さん:自分で自由にできる時間が増えたことですね。
組織にいる時はやりたいこと、試したいことがたくさんあるのに時間が限られてしまうストレスを感じていました。あとは、医療介護系以外の職種の方々と知り合いになる機会が圧倒的に増えて、断然視野が広がったことです。
また、お金の部分で、経費を考えたりするので、お金がどこから来てどこへ流れるのか、お金の流れを俯瞰して考えることができるようになりましたね。
フリーランスになりたい人へメッセージ
編集者:最後に、フリーランスになりたい方も増えてきていると思うので、メッセージがありましたらお願いします。
川添さん:私は、病院や組織でずっと働きたいと思って資格を取得しました。
しかし、5年くらい組織で働いていると、色々思うことがあり、”自分らしさ”をもっと組織で出したいと思いました。そして、たくさん自分なりにもがいて、悩みました。フリーランスと言っても、結果的にそういった働き方をしているだけです。
自分らしく働きたい!という思いで、自分の働き方を徐々にシフトして行ったらこうなった、という感じです。フリーランスになろう!と思った訳ではないんです。
フリーランスではなく、組織の中で自分らしい働き方を追求できるのであれば、それはすごく素敵なことだと私は思っています。
私自身、ワクワクして働きたいという思いが強いので、組織の外に出るとワクワクするような出来事は増えると思います。アドレナリン中毒の人にはフリーランスは向いていると思います笑。
編集者:すごく勉強になりました!ありがとうございました。
■「フリーランス作業療法士」川添さんのFacebook
■川添さんの事業:車椅子広告事業について詳細
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インタビュアー ワーシャル編集長 西野 英行
インタビュアープロフィール
理学療法士ブロガー。本業をしながら、個人でブログやサイトを複数運営し、個人で多方面に活動する「セミフリーランス」という新しい働き方を実践中。リハビリブログ「未来のPT:https://hideyukiriha.com/」を運営、最高月間49万PV。著書「100歳まで元気でいるための歩き方&杖の使い方」